どうも、ブルーチーズドリーマーの伊勢昇平です。
僕の夢は
世界一のブルーチーズを作ること
さて、世界一とは一体なんなんでしょうか。ルフィの海賊王くらい訳の分からない夢ですよね。
ここで世界一になるための明確な基準をご説明したいと思います。
目指すはロマネ・コンティ
僕が考える世界一のチーズの理想モデルは実はチーズではなく、あるワインです。
世界一の称号を誰もが疑わない。
そう、ロマネ・コンティです。
ロマネ・コンティ(仏: Romanée-conti)とは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(DRC)社が単独所有するフランスのブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏、コート=ドール県・ヴォーヌ=ロマネ村の畑で作られる超絶高級ワインです。
この銘柄のワインはたったの1.8ヘクタールの畑で作られています(ちなみにうちの牧場の私有地は約70ヘクタールです)。
アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(ヴォーヌ=ロマネAOC)におけるグラン・クリュという一番高い格付けの畑にあたります。
品種はピノ・ノワール種のみ。生育が最もデリケートで土地の味(テロワール)が一番複雑に感じられる品種と言われています。
ワイン好きの人に
「世界一のワインは何か」
と聞けばほぼ間違いなくこのワインの名前が上がるかと思います。
年間たったの6000本のワインが世界中に散らばり一本何百万円の値段で取引されています。
飲むよりも語るためのワインという表現がされるくらい、実際にその味を知っている人はほとんどいません。
しかしこのたった6000本が世界を感動し続けているのです。
たったの、たったの6000本。20人が毎日一本ずつ飲んだら一年持ちません。いかに少ないか想像していただけますか?
このワインを世界一にしたのがアンリ・ジャイエという伝説のワイン醸造家です。
アンリ・ジャイエという伝説
アンリ・ジャイエは1922年にロマネコンティの畑を有するヴォーヌ・ロマネ村で生まれます。
彼の家は元々、ネゴシアンという業者にブドウを売る小作農を営んでいました。
しかし徐々に時代の変化や不況によりブドウが満足に売れなくなっていきました。
そこで仕方なく、自らが造ったブドウで自分でワインを造る自家元詰めというスタイルを試すことになります。今日本でいうところの6次産業化ですね。
このブドウの生産とワインの醸造を一貫して行うやる方はアンリがブルゴーニュに広めました。
そして競争激戦区であるブルゴーニュ地方のドメーヌのなかで、当時流行っていたひたすら大量生産するやり方ではなく、品質にこだわった希少性の高いワインを造る選択をします。
化学肥料を最低限に抑える有機栽培や低温マセラシオン、ノンフィルターなど、土地の味を存分に活かすことのできるやる方を次々と取り入れ、当時のピノノワールでのワイン造りと逆行するワイン作りに挑戦します。
最初は時代遅れのやり方だとして変人扱いをされてしまいます。
先祖代々受け継いだワイン畑を潰す気か、と。
アンリ自身も間違ったことをしているのかもしれないと不安になったこともあったそうです。
しかし、品質にこだわったワインづくりは徐々にインポーターや評論家などに評価されることになり、世界中にその名声が広がっていくことになります。彼らにとっても付加価値の高い高級ワインを取り扱うことにメリットがあったからです。
結果的にブルゴーニュのピノノワールが持つ本来の味わいこそがワインの頂点であるという絶対的な信用を得ることになるのです。
まるで我が伊勢ファームが貫いてきた土地作りと重なります。
品質にこだわったチーズを作ることができれば個人レベルの小さな規模のままでも十分に世界と勝負できるという証拠です。
人、土地、商品が全て重なる魅力をいかに深めていけるかが勝負となります。
ロマネ・コンティがなぜ世界一か
最高の味を作り出すという最低限の話は書くまでもありませんので省略します。
この理由を可能な限り説明するとすれば、5W1Hが限りなく濃いということにあります。
5W1Hとは
WHEN→いつ
WHAT→何を
WHERE→どこで
WHY→なぜ
HOW→どのようにした
のことです。よく文章を書いたり物語を作ったりするときに考えるべき基本的な状況を説明する英語の疑問詞です。
ロマネ・コンティは世界のワインで最もこの6つの要素がはっきりしているのです。
WHEN→大量生産全盛期に
WHAT→最高の品質のワインを
WHERE→ヴォーヌ・ロマネ村で
WHY→受け継いだ畑を守るため
HOW→品質を高めるために伝統と革新を試行錯誤し続け、その製法を確立させた
ということです。この6つの要素を全て濃度を濃くしていくことが重要です。
江丹別の青いチーズ自体のオリジナリティはこのようなアレンジによって十分に引き出しています。
江丹別の青いチーズにとってこの5W1Hが何に当てはまるのか、まだまだそれを模索しながらのチーズづくりですが、どうぞ温かく見守っていただければ幸いです。
応援の意味も込めてチーズを買っていただければ、なお嬉しく思います。
コメントを残す