どうも、ブルーチーズドリーマーの伊勢昇平です。
江丹別でブルーチーズを作っていて一番多くされる質問、それは
「なんでブルーチーズを選んだんですか?」「他のチーズは作らないんですか?」
なるほど、気になりますよね。
お答えします。
全ては世界一のチーズを作るため
僕のテーマは世界一のチーズです。
江丹別でどのチーズを作ればそこに最短で近づけるか考えました。
ヨーロッパで江丹別と気候が一番近いところを探して、そこで作っているチーズを作ればいいんじゃないかと。
仮にこの土地に酪農の歴史があり何百年もチーズの技術が受け継がれていたとしたら。。。きっと自然環境や立地により1つのチーズに淘汰されていたでしょう。 冬と夏の温度差が激しく、冬はかなりの降雪量。近くに大きな水源となる山がありそこまで標高は高くない。典型的な内陸性気候。
調べると
ありました。
オーベルニュ地方です。
夏は30度以上、冬はマイナス10度を軽く超えて近くに世界的に有名な山、ボルヴィックからの豊富な水源がある。
「地球の歩き方フランス編」で最もページ数の少ない、影の薄い地方。まさにここがヨーロッパの江丹別。影の薄さもどこか似ている。
そしてここにはある有名なチーズがありました。
そう、ブルーチーズ。
ブルードヴェルニュです。
よし、まずはここに行って見てみよう。早速オーベルニュ地方にとびました。
ネットや地元の人に聞き込み、出来るだけいろんなブルーチーズの生産者を周りました。そして植生や牛の飼い方などをみて確信しました。ここの環境は江丹別と全く同じだ!
「ここと同じチーズを作れば一番江丹別の個性を発揮できる!」
というわけで僕が作るチーズは江丹別の青いチーズとなったわけです。
もの作りで大事にしていること
大抵の人は自分が食べたいチーズを作ったり誰かに作ってほしいと言われて商品化していくパターンがほとんどです。
そして必ず1つだけではなく何種類かレパートリーを増やします。
経営を考えた時、つくる種類を増やすということはとてもメリットがあります。
商品のニーズによって売り分けたり、1つがダメでももう1つがうまくいけばちゃんとビジネスとして続けていくことができるからです。
しかし、実際にやっているとデメリットもあります。
個人が小さく始めた場合、物理的、時間的に制約がかかってしまうのです。
まず、製造する場所は大きさが限られており、作るものが増えるほどスペースが余計にかかるので融通が効かなくなります。
「今日はもうちょっとこの温度の熟成庫にこのチーズを置いておきたいけど次のチーズも入れなきゃいけないから無理だ。。」というような。
そして
1種類を100個作るよりも10種類を10個作る方が何倍もの時間がかかります。
現場に何人もいる場合はそれでもなんとかなりますが一人の場合、そのデメリットはどんどん大きくなっていきます。
ぼくが作りたいのはあくまで江丹別に合ったチーズ、江丹別で1番力を発揮できるチーズです。
目的に対してベストな手段を選択する、というのが大事です
殆どの物作りをしている人も忘れがちになっていることです。
僕の目的は世界一のチーズ、そしてそのためにブルーチーズを手段として選択しました。
伝わらなければ意味がない
そして一つのことを極めることにはメリットがあります。
それは、
相手に自分が何者であるか伝えやすくなる。
ということです。
作っているチーズが1つだけなら
これに関しては誰にも負けません
というアピールができるのです。
そして1回あっただけの人というのは大抵名前なんぞも覚えてもらえません。
しかし、
「なんだっけ、あのブルーチーズ作ってるって言ってたやつ」
という印象は残すことができるんですね。
作るものが増えるほど印象は薄くなります。
そして何が強みか伝えることもできなくなります。
自分のこだわりも見えなくなります。
僕は常々世界一のチーズを作る!と言っているんですが
もし2種類作ってしまうと必ずどちらかは世界一では無くなります。
世界一のチーズを作りたい!という夢は1種類でのみ可能なのです。
もちろんうまくいかない時のプランBがある方がいい!という考え方もあります。
しかしそれはあくまで経営を考える上でメリットが多いということです。
僕は人にいかに自分の思いを伝えるか、ということを最優先しています。
自分の住んでいる江丹別という土地、そしてここで作るチーズが人の心に残って欲しいんです。
思いは通じる
こんな思いが通じてか、江丹別の青いチーズはJAL、ANA両社の国際線ファーストクラスの機内食に採用されました。
これは国産の全ての食材で史上初の快挙です。
ブルーチーズなら江丹別だろう
というイメージを作り上げることができた結果だと思います。
シンプルなようですがこれが一番社会で求められる存在になれる方法だと思います。
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