【雑学】ブルーチーズの青カビはなぜ食べられる?カビの違いと健康について

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ブルーチーズって青カビが生えてるのになぜ食べられるの?

この記事に行き着いた方は、こんな疑問をお持ちのはずではないですか?

もし当たっていたら必ず最後までこのブログを読んでください!

ブルーチーズって青カビだけど体に悪くないの?健康に害はないの?

小さい頃教えられましたよね。

パンやもお餅に青カビが生えたら絶対に食べてはいけないって。

腐敗の象徴的存在です。

結論から申しますと、そんな青カビもチーズに生えるとなぜか食べれちゃうんです。不思議ですよね。

インターネットで調べると、「ブルーチーズの青カビは無毒のものを使用しているから食べても大丈夫」という記述が蔓延っていますが、これはかなり不十分な記述です。というかはっきり言って間違いです。絶対に信用しないでください。

まだまだ青カビのことは日本では知られていないようです。

ということで、この記事では、日本一ブルーチーズオタクブルーチーズドリーマー伊勢昇平

・普通の青カビとブルーチーズの青カビの違いは?

・ブルーチーズの青カビはなぜ食べられるのか?

・ブルーチーズの青カビを食べても体に害はないのか?

これらについて解説していきます。

普通の青カビとブルーチーズの青カビの違いは?

まずはじめに、衝撃の事実をお伝えします。

「ブルーチーズの青カビと、パンや餅に生える青カビは全く一緒である」

青カビの学名はペニシリウム・ロックフォルティPenicillium roquefortiと言いましてあくまで1種類しかありません。

もちろんごとに性格違うわけですが(人によって性格や見た目が違うのと一緒)代謝が全く異なるということはありません。



こんなことを聞くとますます食べられないんじゃないかと思われるかもしれませんが、ご安心を。

ブルーチーズの青カビはなぜ食べられるのか?

パツリンとペニシリン酸

少しだけ化学的なお話をさせてください。

青カビが生成する代謝物で「パツリン」と「ペニシリン酸」というのがあります。


▲パツリン酸


▲ペニシリン酸

「ペニシリン」とありますが、有名な抗生物質ペニシリンとは似て非なる物質です。

この2つは、主に発ガン性などの人体に有害な物質であるとされています。しかしチーズに使用される青カビの株はパツリンは生成が行われません。

ペニシリン酸においては一部生成が行われることがありますが、タンパク質食品においては非常に不安定であることがわかっています。

コーンミール粥、チーズ、ソーセージにそれぞれ2つの成分を添加し経過を観察した実験ではチーズとソーセージで添加後まもなくこれらの有毒成分が分解されていることが過去の実験で証明されています。

ほかにロクイホルテイン、PRトキシンなどといった青カビから生成される有毒物質があります。

これらはいずれもタンパク質食品、低温での熟成環境やチーズ中のアンモニアの影響により、ほとんど生成されず、少量生成されても不安定ですぐに分解されてしまうという実証がなされています。

つまり逆に考えると普通にチーズに生えてる青カビもパンやご飯に移った場合、毒素を出す可能性が高いということです。

「食用の青カビを使っているから食べられる」という説明では誤って有毒なカビを口にしてしまう危険性があるのでみなさん注意してくださいね!!!

ちなみにカビの代表的な有毒物質であるアフラトキシンは青カビにおいてはいずれの食品においても検出されることはありません。

アスペルギルス属の、ナッツなどの穀物につくカビが生成する毒素です。


▲アフラトキシン

ブルーチーズの青カビを食べても体に害はないのか?

先ほども書いたように、ブルーチーズには全く人にとって有毒な成分は含まれません。
それどころか健康にとてもいいんです。

以前テレビで登場し話題になりました、「ラクトトリペプチド」です。

ラクトトリペプチド(LTP)の主な健康効果
① 血圧上昇を抑える
② 血管が狭くなる原因を取り除く
③ 血管を柔らかくする

高血圧予防に効果的な成分です。持続的に摂取することで血圧が下がることという研究もあるようです。この効果により動脈硬化、脳梗塞などの病気を予防することができるのです。

そしてさらに青カビの脂肪分解の効果によって乳脂肪が細かくなっているので吸収効率がよく、お腹への負担もとても小さいんです。

まとめ

青カビがチーズを代謝する際、

・タンパク質食品である
・低温で熟成される
・アンモニアを含む

などの理由により、有毒成分はほとんど生成されず、生成されてもすぐに内部で分解されてしまう

「青カビはチーズに生えると毒素を出さない」

さらに人間にとって有益な栄養素が増えるので健康に良い!

ということが言えます。

普段は嫌われ者の青カビも活躍する場所が変わればこんなヒーローになれるんです。

青カビみたいな人に、私はなりたい。

みなさん、安心してブルーチーズを食べてくださいね。

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34 件のコメント

  • ブルーチーズのファンです。パンにのせてハチミツかけて食べると、止まりません。臭いのに美味しと感じる、人の味覚の不思議!

  • ブルーチーズの青カビが有毒なのであれば、お弁当にブルーチーズをいれ、ほかの食材に青カビが移った場合はお腹を壊してしまうことがあるのでしょうか?

    以前、妻が作ったお弁当にブルーチーズが入っていたことがありまして…

    • カビがうつるというのは、カビの菌糸が食材の中に伸びることですのでそうなるまでには数日かかりますからお弁当は大丈夫です。他の食材と隣り合わせになっているのは全く問題ありませんよ。

  • 興味深い記事をありがとうございます。
    脂肪分の多いバターはどうなのでしょう?
    ブルーチーズのそばにあったバターに青カビが移った事があって、表面を削って中心部だけ食べてみたらブルーチーズの深い味わいだった事があったので。
    発酵バターはあるので、毒性がないならブルーバターもあってもいいのかなと。

  • バターにカビが出来て、臭いを嗅ぐとゴルゴンゾーラそのものです。
    数年前にも偶然こうなったことがあり、そのバターをトーストにつけるとメチャクチャ美味いですよ。それでそのバターを種にして、新鮮なバターにくっつけて増殖?してましたよ。
    今回もその再現!と喜んでますが、検索すると「食べるな」の記述ばかり。あまりに美味いし、滅多に手にできないから捨てる気にならないんだけど・・・、この記事を見てバターも同じでしょ、と考えていますが。

    • バターはほとんど脂肪ですから、炭水化物がないので毒素は出さないですね。安心して食べてください!
      青カビは脂肪分解力が強く、独特の匂いや味は脂肪を分解した成分です。

      • うわ、それはありがたい情報です。
        年のため検索すると、否定的なモノしかなく、しかし納得行く内容ではなかった。
        自分のセンサーは「good」に大きく針が振れていたので、諦めずに家策してました。
        認定印いただけてトーストに厚く塗って食べますわ♪

        • 今まで日本ではほとんど青カビの知識がなかったので、どんどん情報を発信していこうと思うのでどうぞよろしくお願い致します!

  • お聞きしたいのですが、ブルーチーズ入りソーセージを作りたいと思うのですがどうでしょう?

    • 美味しいと思いますよ!確かヨーロッパに一部そういう商品もあったような。
      日本では商品化間違いなくされていないのでヒット商品間違いなしですね。
      できたら食レポ楽しみにしてます!

      • 先程のソーセージなのですが、製造時の注意点など有りましたら教えて下さい、特に機械とか使う場合の洗浄方法や菌に対する注意点など宜しくお願いします。

        • ソーセージの製造については全くの素人なので専門の方のアドバイスを参考にされるのが良いかと思います!
          基本的な器具の洗浄と汚染の防止を徹底して、ぜひ美味しいソーセージを作ってくださいね!

  • 今日は。発酵や発芽に関心があって、黒豆納豆や黒豆のテンペ、玄米乳酸菌を使ったスンキ漬け、その他豆乳にパイナップルと玄米乳酸菌を合わせたペプチドヨーグルト等々を自作しています。

    ヨーグルトの場合植え繋ぎが苦手な菌種例えばブルガリア菌などあり、自分はその様な菌種は使わずにカスピ海菌とかケフィア菌を使っています。

    ブルーチーズも塩分が多いので市販のカッテージチーズの裏ごしタイプではない普通のタイプに種青かびを植え付けて自作しています。何度も植え繋ぎしても問題ないのでしょうか?種カビはデンマークのブルーチーズです。今度普通のプロセスチーズにも青かびを生やしてみようかと思ってますが、問題ないですよね?ご指導よろしくお願いします。
    テンペの写真出てます。↓
    https://yahoo.jp/box/F5XKnq

    • ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。
      これkらもブルーチーズの役に立つ情報を発信していきますのでどうぞよろしくお願いいたします!

  • 海外でカシューナッツに青カビを生やしたヴィーガンチーズを作っているのを見かけたのですが(青カビチーズから青カビを移して作ってました)毒性は無いのでしょうか?カシューナッツは半分が脂肪で25%がタンパク質、残り25%が炭水化物で何とも判断が難しい栄養成分ですが…

    • コメントありがとうございます。ナッツなどには毒性の高いカビが繁殖しやすかったはずです。ですのでとても危険なことだとは思うのですが、、実際に作って食べている方がいるということでしょうか。個人的には絶対に試したくない食品ですね笑

  • とても面白い記事でした。ちょうど冷蔵庫にあるゴーダチーズに青カビが生えてしまったのですが、これも食べても問題なさそう…?というか食べてしまいましたが美味しかったですw

    • コメントありがとうございます!
      そうですね、青カビ自体は毒は出していません。
      ただ、いろんな雑菌が見えない状態で繁殖していることもあるので匂いがおかしい時、カビ以外の変色が見られる時は食べるのを控えた方がいいかもしれません。

  • フレッシャーズの頃は血管が細く、チーズも食べれなかったのですが、外食や外国旅行で徐々にチーズが好きになり、ブリーが食べれるようになり、ゴルゴンゾーラが美味しい!と、変化していきました。と、同時にこの頃から、血管が育つというか、しなやかだけどしっかりした血管になったのです。こちらに血管への作用の記述もあり、根拠があったのだなぁと、感慨深いです。

  • 江丹別で是非蜂蜜を作ってブルーチーズと一緒に愉しみたいです。さらに、ワイナリーができたら、最高じゃなですか。温泉も出ないかな。世界一目指してください。サポートしたいです。クラウドファンディング立ち上げてください。

  • ブルーチーズは(プラパッケージを開けてない物に限る)年単位で休ませて食べています
    めちゃくちゃ美味しい!!!

    アルミ箔とラップ包装のものは信憑性が低いのでやっていません
    プラパケのものはカビがパック内のガスを食べるのかな?
    真空引きみたいになりますので最終的にカビが不活性になっていると思われます

    他にウォッシュ、カマンベールも同じ様に楽しんでいます
    ウォッシュ、カマンベールでこの様に楽しむこれらはホールのみです
    切り口があると腐敗の可能性がある為

    ブリーなど白カビで切った小分けのパッケージは何らかの影響で明らかな腐敗をしています(水分率が多い為と考えています)
    つまり水分率が一定以上でもカビなどで外周部に壁と言うかバリヤーがある物に限っては腐敗のリスクは非常に低いと分かります
    製品前には既に数年熟成されているものがあるのですから当然です

    ジビエなんかは腐敗と熟成ギリギリのところで食べてる訳です
    パッケージに外気が侵入しない状況で且つ冷蔵庫保存はチーズの寿命を確実に延ばしてくれます

    清潔観念は重要ですが、やはり何事も行き過ぎは人生と言うか人間からあらゆる楽しみを奪ってしまうと思います

  • ブルーチーズは好きです
    たまにしか買いませんけど。

    パンを時々作るので、クリームチーズを
    冷蔵庫に置いてますが、
    夏場は、ちょっと使わないと
    割と早くカビがつきます。

    今まではあちゃってなって
    その部分取って使ってましたが
    この記事を読むと、そのまま使えるのかな?
    と思いました。

    チーズに生えるカビにも
    いろんな色のカビがありますが
    青カビなら大丈夫なのでしょうか?
    青カビみたいに見えるけど違うカビもあるのでしょうか?

  • ブルーチーズは大好きで常備しています
    が人工関節置換術を終えて医師から細菌感染症に注意するようと言われました、ブルーチーズ好きな私がふと思ったのはブルーチーズのカビ菌を食してもいいのかなぁと思うとどうしたらいいのか…中々誰にも聞けなくて…好きなブルーチーズが食べられなくて教えて欲しいです。

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